事務所通信
2026/03/15
「不動産小口化商品」の節税に黄信号!? ~政府税調 “評価額の乖離”を問題視~
11月13日、政府税制調査会の「経済社会のデジタル化への対応と納税環境整備に関する専門家会合」が開催された。この会合で国税庁が提出した資料の中で、相続税・贈与税の節税手法として広く使われている「不動産小口化商品」を利用した対策が、実勢価額と相続税評価額(財産評価基本通達に基づく評価額)の大きな乖離を生じさせる点から、明確に問題視されている。
価格差が生じる背景には、貸付用不動産に固有の評価の仕組みがある。市場価格(実勢価格)は賃貸の稼働率や将来収益が高いほど上昇する一方、相続税評価額は「借家人の支配権による利用や処分の制約」を考慮して算定されるため、賃貸割合が高いほど低く評価される。つまり、市場価値を押し上げる要因と、相続税評価額を押し下げる要因が逆方向に働くことで、両者の乖離が構造的に拡大しやすい。
資料では、3,000万円で取得した不動産小口化商品の相続税評価額がわずか480万円となったケースが紹介され、「かい離が5倍を超えるものが散見される」と明記されている。また、受贈者が贈与後に受益権を販売会社へ売却し、取得価額に近い水準で現金化された事例も提示された。
不動産小口化商品の評価について何らかの改正が実施されるかはまだ不透明だが、はじめて議論の俎上に上げられたことは確か。節税商品として広く出回っているだけに、今後の議論の行方をしっかりと見守りたい。
